移動性野生動物種の保全に関する条約 勧告7.5
ジュゴン(Dugong dugon)保護のための生息域各国間協定
第7回締約国会議(ボン、2002年9月18-24日)にて採択

 条約第2条がすべての締結国に対し、付属文書?にあげられている回遊種の保護と管理を対象とする協定を締結する努力を要求していることを認識し、 ジュゴンが、37の国と地域にわたる熱帯・亜熱帯の沿岸および内陸水域に広大な生息域を持つことに注目し、 ジュゴンは長生きだが、繁殖率が低く、子は高い投資価値があるために乱獲に対して脆弱な種であることを想起し、 この生息域のほとんどにおいて、ジュゴンは残存する個体群の中で生き残っているが、その多くはかなり減少しているかすでに絶滅している広大な領域で隔てられていることに注目し、ジュゴンは、その生育史と生息域が沿岸に分布するがゆえに人為的な影響に対して脆弱であり、そこでしばしば人間の開発と狩猟の圧力にさらされることを意識し、ジュゴンはその生息域のいたるところのコミュニティにとって文化的に重要で、いくつかの地域ではいまだに伝統的に狩猟されていることを認識し、肉、油、薬、お守りなどのようなジュゴン製品が、生息域のいくつかでは未だに高い価値があることを意識し、この種のすべての個体群は、種およびその体の部分の国際取引を禁止する「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES;ワシントン条約)の付属文書?にあげられていることを想起し、締約国会議は移動性野生動物種の保全に関する条約に対して、

 1. ジュゴンの生息域にあたる締結国に、個体群の保護の状態を確認し、国の管轄域
   内の個体群に対して脅威となるものの性質と範囲を決めるための行動を起こすこ
   とを強く要請する。
 2. 国の管轄域内にジュゴンの繁殖域や生息域を持つ締結国に、種の生息域全体にわ
   たる保護と管理に協力することを要請する。
 3. ジュゴンの生息域を持つすべての国に、互いに協力し、必要に応じて、種の生息
   域全体にわたる保護と管理のための理解と行動計画の覚書を作成し締結すること
   に積極的に参加することを勧める。
 4. 常任委員会と科学審議会に、進捗を検討し、第8回締結国会議に要求する適切な緊
   急行動を提案することを要請する。
 5. さらに、生物多様性の保護を任務とする国際機関、非政府組織、地域の経済組織
   に、ジュゴンの保護と管理のための技術的・資金的サポートなど適切な支援を提
   供することを強く要請する。

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