移動性野生動物種の保全に関する条約 勧告7.4

東南アジアおよびその近海の小クジラ目とジュゴンのための地域協力
第7回締約国会議(ボン、2002年9月18-24日)にて採択

 フィリピン、ドゥマゲテ(Dumaguete)(2002年7月22-26日)で行われた東南アジアの海棲哺乳類に関する第2回国際会議の結論に注目し、
 特にCMS(移動性野生動物種の保全に関する条約)の付属文書IIおよび協調行動のために作成された種のリストには、いくつかの小クジラ目(スナメリ、シナウスイルカ、ミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカ、マダライルカ、イラワジイルカ、サラワクイルカ)とジュゴン(Dugong dugon)が含まれることに注目し、
 東南アジアとその近海の沿岸域、および内陸水域沿岸のコミュニティが、社会−経済、文化、科学、観光、生態系、教育において重要であるとしてこれらの種に価値を置いていることに注目し、クジラやイルカが、個体群の動態とバランスおよび食物網機能の維持において重要な役割を果たしていることを認識し、
 さらに、これらの動物や他の大型海棲哺乳類の違法な乱獲が東南アジア諸国で続いており、そのために海洋生態系の完全性と多様性が危機にさらされていることを認識し、
 これらの種に対する驚異とは、事故死、意図的な殺りく、海岸や河岸の開発による生息環境の破壊や改変、そして汚染であることを意識し、
 これらの種は回遊性で、国境や管轄区域を越えて移動できることを認識し、
 小クジラ目と海牛類の保護において、オーストラリア、カンボジア、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムなどの国々がイニシアチブを取ってきたことに感謝し、東南アジアと近海における小クジラ目と海牛類の個体群およびその生存環境の保護と持続的な管理について責任を分け合う必要があることを認識し、
 CMSと関連協定の中で得られる経験の伝達促進への関心に注目し締約国会議は移動性野生動物種の保全に関する条約に対して、

 1. ドゥマゲテ(Dumaguete)会議の勧告に基づき、全ての締約国とそれらの分布域に
   あたる国が、これらの種の保護のため内陸水域および海域の特性を考慮した適切
   な協力手段の確立を検討することを奨励する。
 2. 非政府組織や国際的な科学者のコミュニティと同様に、小クジラ目および海牛類
   の保護と管理の責任を負う政府機関を含む全ての関係者の参加を奨励する。
 3. 石油会社、漁業・水産養殖業、観光業者など社会の様々な産業とともに、これら
   の種の保護を促進していく必要を認識する。
 4. 地域の各国は、適切な(協力)手段を準備するコーディネーターをできるだけ早
   く指名することを勧告する。
 5. この勧告の実行を促進するために多国間、二国間で技術的・資金的な提携をする
   ことを勧告する。

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