野田政権が強引に推し進めようとしている辺野古基地建設、そのための環境影響評価プロセスの

強行に、強い反対の声が上がっています。

環境影響評価については、その違法性を主張して、やり直しを求める訴訟も行われています。
1月19日に行われた辺野古アセス審査会で、真喜志好一さんが発言されました。発言のためのメモを、承諾を得てアップします。

 

http://www.ustream.tv/recorded/19530420

 

アセス法違反の日本政府 沖縄防衛局

2012年1月2日

真喜志 好一

 

 今日、お話するのは三つの話題です。

 一つ目に、いま海兵隊の基地キャンプ・シュワブの内側で、兵舎の工事をしてますけれども、これはアセス法違反だということです。 

 二つ目に、これまでアセスの手続きの中で、飛行ルートについて、陸上部、住宅・集落の上は飛ばないとしていますが、これらのルートのウソもアセス法違反である。

 三つ目に、オスプレイという新しい飛行機を米軍は企画していますけれども、オスプレイの配備について日本政府はアセスの中で隠してきています。このこともアセス法違反だという三つの話をします。

 

〈環境影響評価法

 (定義)

第二条  この法律において「環境影響評価」とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む。)並びに工作物の新設及び増改築をいう。以下同じ。)の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む。以下単に「環境影響」という。)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。〉

 

 

 環境アセスというのは、環境影響評価法、第2条(定義)の中で、ややこしく書かれていて、目を通しても分かりにくい。そこで少し工夫して主な文章を読むようにしました。

 事業の実施が環境に及ぼす影響について、「調査、予測及び評価を行う」。これが環境アセスというシステムです。辺野古の場合は、飛行場を作るために埋め立てをする、その埋め立てという一つの環境アセスの対象となる事業と、飛行場を作るという事業があります。埋め立てについては面積が国のアセスメント法を適用するので、国の法律でアセスをすることになります。飛行場については国の法律は滑走路の長さが1875メートル以上の飛行場となっていて、今回、1800メートルですので、国の法律ではなくて、沖縄県が作っている環境影響評価条例でやるということになります。

  

 次に、「これと合わせて行うしゅんせつを含む」とされていて、このしゅんせつというのが、日本政府が、沖縄防衛局が前に発表した1700万立方メートルの海砂の採取、沖縄近海で採取すると最初に発表しています。この採取することについても環境アセスの対象となります。1700万立方メートルというと、分かりにくいですが、海岸縁に立って、海に向かって100メートルの砂浜があるとして、その砂浜の厚みが1メートルあるとして、どれだけの量になるかというと、その砂浜の長さが170キロメートルになります。沖縄島の周辺の海水浴場の砂すべてを取る、それ以上を取るという計算になります。

 

 その次ですが、特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更並びに工作物の新設及び増改築をいう。これもアセスの対象ですよと。これは、兵舎などの新設、増改築、滑走路を造るためにキャンプ・シュワブの中の兵舎を飛行場(滑走路)の外側に移す、それらの仕事が対象になりますよということです。

 それからさらに、当該事業の実施後の(飛行場の建設後の)そこで行われることが予定される事業活動(飛行機が飛ぶということ)が、アセスの対象になりますよ。ということで、ここでは騒音の影響がありますので、飛行ルートがどうなるか、オスプレイの騒音や危険はどうなるのか、そういうことがアセスの対象になります。

 

 環境アセスメント法という法律の流れを説明します。まず、行う事業がアセスの対象事業か。今回は、埋め立てはアセス法の対象、飛行場を作ることは沖縄県の環境影響評価条例の対象になっている。この判別から始まります。次に「方法書」という書物を出しまして、「方法書」には、どういう飛行場をどのくらいの面積を埋め立てて造るのかという基本的なことや、そのために海で行う調査、騒音調査などを含めて、どのような調査をどういう方法で行うのかを書いた「方法書」の公告縦覧から始まります。

 この「方法書」については、2007年8月にすでに表に出ておりまして、住民の意見などを出したところです。この「方法書」の後で、環境調査の方法を決めて、調査し、予測し、評価をして、その結果を「アセス準備書」というものにまとめます。この「準備書」については、2009年4月に出されていて、これに対しても住民は意見を言っている。

 次に、住民の意見や県知事の意見をふまえて、事業者である沖縄防衛局は「評価書」を出します。いままさに問題になっているのがこの「評価書」です。「評価書」については、住民の意見はとらず、県知事の意見のみを採用することになっています。ですから、われわれ沖縄の住民は、アセスの「評価書」を出すことをやめろと、その以前の問題があるから出すのをやめろと主張しているところです。アセスの「評価書」について県知事の意見が出て、「評価書」の修正を行ってのち、埋め立て免許の申請をすることになります。公有水面埋立法という法律のもとで、沖縄県知事が埋め立て免許の権限を持っています。

 

 「ジュゴン訴訟」、聞き慣れないと思いますが、アメリカでジュゴンなどを原告にして裁判を行っています。この裁判はアメリカの法律で、国家歴史的財産保護法があって、この法律によると、合衆国がアメリカ国外で行う事業においても、相手国の同じような法律で守られている物事については、合衆国も守らなくてはならない。合衆国が相手国の法律を犯したときは、何人も合衆国を訴えることができる、という法律です。それで辺野古のアメリカ海兵隊のための飛行場建設計画の中で、ジュゴンの保護策が示されていない。ジュゴンは日本の文化財保護法で天然記念物に指定されていて、傷つけたり生息環境を脅かしたりしてはいけない。アメリカの飛行場計画の中で、ジュゴンの保護策が示されていないから、保護策を示せという裁判をしているわけです。

 沖縄からは米軍が関係していることを証明するために、証拠として1966年の米軍の飛行場建設計画などを出しています。裁判の中で被告であるアメリカ政府は、この飛行場を作るに当たっての日本政府とアメリカ政府の協議記録、オスプレイの配備などを記した協議記録などが裁判所に出されています。さらには、キャンプ・シュワブ周辺、辺野古ダムなどで行っている兵舎の建設についての年度ごとの計画も出ています。それから飛行ルートで日本政府は集落の上は飛ばないと言っていますけれども、アメリカ側の文書では陸上も飛ぶと言うことを記しています。さらにはアメリカの裁判長から、日本のアセスの「評価書」が出たら、ジュゴンに関する部分の翻訳を出してくれということが言われています。

 

 今日の話題の最初です。海兵隊の基地、キャンプ・シュワブでの兵舎の工事はアセス法違反である。これは亡くなった私たちの仲間の土田武信さんが文書開示請求などで丁寧に追跡していたものです。キャンプ・シュワブ周辺での兵舎の建設について、住民の側からの意見書で、兵舎等の建設は明らかに代替施設、つまり飛行場の関連工事であるにもかかわらず、アセス手続きを踏まずに工事が着手されており、不適切であり、違法である、という意見が出されていました。

  これに対して沖縄防衛局、日本政府の回答は、兵舎建設は「代替施設建設事業とは事業の目的、実施区域も異にする事業であるから環境影響評価の対象に含める必要はない」という答えをしています。これが本当かどうかを追っかけています。

 これらの図は、これはV字型に滑走路が変わっていくときに日米間で協議した2006年4月18日付の文書のものです。キャンプ・シュワブ内の施設の配置がどのように変わるか、年次ごとに示されています。これを一つずつ見ていきます。着手から1年後、キャンプ・シュワブの中の赤い印を付けた兵舎を壊していきます。そして外側に作っていきます。3年後、さらに外側に作っていきます。4年後、埋め立てのための護岸工事が始まります。飛行場になる区域の建物はすべて外側に移転しています。埋め立てが始まります。6年後、滑走路の形もできています。7年後、埋め立ては全部終わった。8年後にV字型の滑走路と駐機場などが完成します。明らかに飛行場建設に伴う兵舎などの移転建築工事であるわけですから、アセスの対象にしなくてはいけません。

 

 これは2006年4月20日に、日本政府とアメリカ政府がV字型の問題について語り合っているときに、アメリカ側のコメントで、環境アセスは辺野古ダム区域やシュワブ陸上区域に関しても、生息地や計画事項について言及するように勧告すると記されています。陸地のほうもアセスをやれと言っています。

 これは、完成した建物の報告書です。「合同委員会合意事案概要」とタイトルされていて、事案内容として、「本件は、平成18年5月の日米安全保障委員会で承認された「再編実施のための日米のロードマップ」 において普天間飛行場代替施設をキャンプ・シュワブ区域に設置するためキャンプ・シュワブの施設の再編成などの調整が行われるとされたことを受け、下記の建設工事を実施することについて、日米合同委員会の承認を得たものである。」

 つまり、飛行場を作るために兵舎を移していく、それを日米合同委員会で承認したという内容になっています。

  それでは、日米安全保障協議委員会で承認された「再編実施のための日米ロードマップ」を見てみます。「合意された支援施設を含めた普天間代替施設をキャンプ・シュワブ区域に設置するため、キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成などの必要な調整が行われる。」これが日米が合意したものです。普天間飛行場を作るためにキャンプ・シュワブの施設その周辺で、建物の造り替えが行われるということを表現しているわけです。したがって、キャンプ・シュワブ内工事の事案内容に書かれていたことは、この日米の合意内容からして、アセスの対象にすべきであります。いま工事されていることは、アセス法違反の工事をしていることになります。

 

 

 次に、これまでに示された飛行経路は虚偽のルートであるということです。環境影響評価法のもとでの「方法書」や「準備書」には、この図のように、台形に飛行機が飛ぶ、陸上部は飛ばないという図になっています。騒音レベルなどがこの図に基づいて書かれている。

 この台形状に飛ぶということは、V字型に変わっていったとき、2006年4月7日に、島袋前名護市長に署名させた基本合意書に記された台形の飛行ルートによっています。当時の額賀nu郎防衛庁長官と島袋吉和名護市長が署名をしています。

 しかし、米国は陸上部も飛ぶと同じ日に主張しています。署名をさせた4月7日に先立つ4月6日と7日両日に東京で開いた、V字型の飛行場について、そこでの日米協議について記した海兵隊のセレック大佐が残している打ち合わせ報告。Eメールになっていますが、そこには陸上部を飛ぶことが明記されています。その報告書の中には、「防衛庁は、断固として陸地の上空に飛行経路を示したくないようであった...」と書かれています。

 この新聞記事は、2010年8月24日付の『琉球新報』の記事ですが、「飛行経路の説明誤り」が、日米間で話し合われている。台形状に示しているのは、日本政府が我々に説明している図です。赤い楕円形の線はアメリカ側が楕円形に飛ぶのだと主張しているところです。その騒音の影響が赤くマークされていますが、陸上部にも及ぶと。ただし日米間の協議の報告書では、飛行経路について記してしまうと、日本政府のウソが明らかになるので、「飛行経路に言及しないか、簡略化した地図で対応する方向」と記事は伝えています。

 

 これは、2010年8月31日付「二国間専門家検討会合の報告」ですが、その添付図面に飛行経路は示さず、着陸する矢印、離陸する矢印だけを示しています。これは「日米合作の沖縄騙しの図」なのです。

  この飛行ルートについて、「アセス準備書」にはどのように書かれているか。問題の箇所を読み上げると、「訓練の形態等によっては、集落上空を飛行することもあり得る・・・具体的に飛行ルートを特定することは困難です。」とおめおめと沖縄防衛局は書いています。このようなアセスは、実際の飛行による騒音レベルの予測も住民は知ることはできず、知事の意見にも答えていない失格のアセスであると言えます。

 

 

 オスプレイ(垂直離着陸機MV22)という飛行機です。矢印で示したようにエンジンの向きが違う飛行機です。そのためにこれまでのヘリコプターに比べて3倍荷物が積めて、2倍の速さで飛び、5倍の距離を遠くまで行く。

 防衛省が、飛行場を作るときのアセス省令をつくっています。その省令によりますと、第二条〈方法書の作成〉において「対象飛行場設置等事業に係る飛行場の使用を予定する航空機の種類」を書かなくてはいけないことになっている。さらに、第五条〈事業特性及び地域特性の把握〉のところで、「使用を予定する航空機の種類」を書かなくてはいけない。第十八条〈準備書の作成〉においては、「使用を予定する航空機の種類及び数」を書かなくてはいけない。

 が、書いていない。そして、オスプレイという飛行機の安全性に問題がある。従来のヘリコプターは重心位置の前後でつり上げる。オスプレイは左右のバランスを取らなくてはならない。前後のバランスを取らなくてはならないということで不安定な飛行機です。

 このビデオは、これは1991年の開発初期の事故です。このような飛行機です。

 

 今から7年前、2004年4月に海を埋めて軍民共用の飛行場を作る計画の時期がありました。その「方法書」に対して県知事は「使用を予定している航空機の具体的種類及び機数を記載すること」という意見書を出しています。

 その後、2007年4月に、「オスプレイ配備明記」という記事が、『沖縄タイムス』、『琉球新報』両紙に出ています。

 2004年4月の「方法書」に対して、沖縄県知事は「使用を予定している航空機の具体的機種及び機数を記載すること」という意見を出していたわけです。

 2007年4月の報道で、米側の記録を基に、オスプレイの配備が明らかになったので、その後のアセスには記すべきでありましたが、その4カ月後に出た「方法書」には、目的及び内容はわずか6ページしか書かれていなかった。飛行機については、「米軍回転翼機および短距離で離発着できる航空機」としか書いていなかったんです。

 さらに2007年8月の「方法書」(V字型)に加えて、2009年4月の「準備書」にも沖縄県知事は「想定されるものも含め具体的な機種及び数を示すこと」という意見を出していますが、日本政府は隠しています。けれども、実は日本政府はオスプレイ配備を1996年から知っていたのです。

 これから紹介するのは、アメリカで行っている「ジュゴン訴訟」にアメリカ政府が提出した文書のうちで、辺野古へのオスプレイ配備を日米が協議したという記録の文書です。1996年10月から11月、今から16年前、ワシントンで行った協議の記録の中に、96年10月23日付ですが、「オスプレイ配備について日本政府は米国に助言を求めた。沖縄県民に、「配備については何も言わない」、「具体的に伝える」「将来配備するときに言う」。どうしましょうか、アメリカさん、ということを聞いている。この議事録には、アメリカ政府は何も答えなかった、と記している。

 96年11月22日、日米協議のSACO最終報告の草案が作られていますが、その草案には、ヘリコプターとオスプレイ部隊をおくと書かれていますが、その後消えていきます。

 96年11月26日、東京で行われた在日米軍、外務省、防衛庁の協議を記録したアメリカ側の文書ですが、在日米軍のコメントとして、「日本政府はまだV−22オスプレイ機の駐機のことを発表していない。在日米軍は早急に公表されることを望む。」という記録を残しています。

 これら紹介してきた文書は、アメリカ側の議事録でした。次に日本政府が作成してアメリカ側に届けた文書を示します。

 1996年11月27日、在日米軍司令部から東京のアメリカ大使館、ハワイの太平洋軍司令部などに送ったファックスです。このファックスの鏡文を見ると、2枚目以降は日本政府からのインプットである。最終ページはオスプレイ問題の想定問答だそうです。ということを鏡文に書いて、東京のアメリカ大使館などによろしくとファックスを送っています。

 このファックスを子細に見ていくと、Mr.Takamizawa of JDA防衛庁のミスタータカミザワが持ってきたものだ、と記されている。高見澤將林という人は96年当時、防衛庁の運用課長をしていた人で、2008年1月くらいから去年(2011年)の8月まで、防衛省の防衛政策局長をやっていた人です。最終ページのQ&Aは「那覇防衛施設局から沖縄県および地元への説明のためのQ&AMV−22関連事項)」というのがタイトルになっています。沖縄のどこに配備するのか? 飛行パターンはどのようになるのか? うるさいかうるさくないのか、などの13項目の質問があって、最後のところで、防衛庁としては、回答は以下の内容に添ったものが望ましい、という模範解答まで付け加えています。

 模範解答の最後のところで、「海上施設は現在普天間飛行場で配備されているヘリコプターの移転先として考えられたものなので、海上施設はあくまでもヘリポートである。」そう答えてくれと書いてある。つまり、オスプレイの配備については言うなよということです。

 つまり、日本政府は1996年の時点で、アメリカ政府から知らされていたという証拠の文書です。

 

 このオスプレイについてアメリカ政府は、安全になったと言っていますが、これは2010年5月31日のニューヨークでのデモフライトのビデオです。この事故では、樹木の損壊だけでなく、11名のけが人が出て、7人が病院で治療をしている。オスプレイは安全になったとアメリカ政府は言うけれども、周りのものは決して安全ではない。ヤンバル(東村・高江)につくろうとしている「ヘリパット」というものも、オスプレイの訓練のために作られる。ヤンバルの森はどうなるだろうか。高江につくる「ヘリパット」でもオスプレイの配備については何ら記されていない。

 

 アセスの問題は先ほど紹介した、防衛省の飛行場を作るときのアセス省令にあるように、方法書の作成には、飛行場の使用を予定する航空機の種類を書かなくてはならない。準備書には、さらに数も書かなくてはならなかった。が、書いていなかった。書いていなかった事実は、消えるものではない。今度の「評価書」で、オスプレイの配備もありますよ、あるらしいとアメリカから聞いたと書いたところで、「方法書」について、「準備書」について、オスプレイの配備を書かなかったウソは消えない。

 

 兵舎工事はアセス法違反で、現在も進行中です。飛行ルートのウソもアセス法違反、運用が正しく書かれていない。オスプレイ配備を隠蔽していることは、防衛省が自ら作っている省令にもよらず、アセス法違反であると。そういう「評価書」、アセスの手続きをやめなさい、「評価書」を出すなということを、私たち沖縄の人たちは政府に対して求めています。

  昨年、12月28日、午前4時という人が働いていない時間に、沖縄防衛局は、この県庁の守衛室に「アセス評価書」らしきものを16部、運び込んでいます。運び込んだことの有効性について、なお丁寧な議論が必要だと思っています。

  以上で僕の説明は終わります。

 

 

 

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 飛行経路の説明誤り 辺野古・普天間代替施設案  琉球新報2010824      

普天間代替施設の飛行経路をめぐる日米の主張の違い

 【米ワシントン23日=与那嶺路代本紙特派員】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設手法の詳細を決める日米協議で、米政府が、軍用機の飛行経路(有視界飛行)に関する日本政府の従来説明が間違っているとし、大幅に広げるよう要求していることが分かった。日本政府はこれまで沖縄に対し、集落から極力遠ざけた飛行経路を提示してきたが、米側は海兵隊の運用の実態と懸け離れていると主張。経路が広がることにより、北東部の名護市安部地区などで騒音被害を受ける対象地域が拡大する。地元が反発するのは必至だ。

 17日から19日までワシントンで開かれた実務者、専門家協議で、日米の相違が露呈し、大きな対立点となった。日本政府は米側の主張は認められないと反論している。専門家協議の報告書が今月末に発表されるが、それまでに折り合いを付けるのは不可能な状況だ。報告書では飛行経路に言及しないか、簡略化した地図で対応する方向。

 日本政府は2006年の日米合意以降、米軍機の飛行経路を、周辺住宅地に極力近づかないような「台形」にとどめると沖縄側に説明してきた。だが米側は「航空機が台形に飛べるはずがない。標準的な楕円(だえん)形の経路で飛ぶ。沖縄に正直に説明すべきだ」と、“是正”を要求した。

 専門家協議で代替施設の詳細を詰める過程で、飛行経路の認識に根本的な食い違いが発覚し、大きな問題へ発展した。

 天候不順の際に行う計器飛行についても、I字滑走路の場合、安部地区北西の「カヌチャリゾート」の上空を飛ばない経路を図示する日本側に対し、米側は運用上、ホテルや周辺地域の上空飛行は避けられないと説明。ここでも議論が紛糾した。

 来週に発表される報告書は、代替施設の滑走路について、06年に日米で合意したV字案と、民主党政権が提案したI字案を併記し、2案の長短の比較にとどめる予定。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-166722-storytopic-3.html