当会は12月7日、下記の申し入れを、安倍首相、岸田外相、小野寺防衛相、石原環境相、山本沖縄担当相に対しておこないました。
申し入れについては、仲井真沖縄県知事、稲嶺名護市長などにもお知らせします。
なお、アルゼンチンアリによる「本土」での被害については、専門研究者の協力をいただきました。みなさんがこの申し入れを活用してくださることを期待します。
●沖縄の海と自然と人々の生活を脅かす辺野古埋め立ては許されません
北限のジュゴンを見守る会・代表 鈴木雅子
info@sea-dugon.org
2013年12月7日
沖縄にとって、世界にとって宝であるジュゴンが泳ぎ、同じく絶滅の危機にあるアカウミガメが訪れる辺野古の海辺を埋め立てる計画に知事が承認しないことを求めて、世界60カ国以上から40,000名以上の署名が集まっています。埋め立て計画は普天間の古くなった基地のかわりに、辺野古に新たな、そして孫子の代まで使えるような米軍基地を、県民の圧倒的な反対を押し切って作るためのものです。
埋め立て計画は、厳しく自然を保全することが義務づけられている辺野古の海の自然環境を破壊し、同じく自然環境を保全するべき山を崩して埋め立て材の山土を採取しようとするものです。11月29日付の県環境生活部長から土木建築部長宛てに出された文書にも、この計画は環境保全について十分な配慮がされているものとは到底言えないことが明らかにされています。
12月4日の琉球新報で、埋め立て材の岩ズリを採取する予定地の山口県や香川県の採石場の周辺で侵略的外来種のアルゼンチンアリが繁殖していることが確認されたことが報道されました。これは、この埋め立て計画が沖縄の海だけでなく自然と人々の生活をも脅かすものであることを明らかにするものです。
遠い土地から移入されたアルゼンチンアリは新たな天地の生態系と調和することを知らず、恐るべき勢いで繁殖し在来のアリをも駆逐し、生態系を崩しています。1993年に広島県で繁殖が確認されて以来、全国20か所ほどで確認され、様々な被害をだしながら駆除に成功したところはありません。世界自然保護連合では、このアリは100種の最悪の侵略的種のひとつとされ、海外ではサトウキビの食害を起こした事例があることも環境省によって報告されています。沖縄県ではいままでは確認されていませんが、山口県などから埋め立て材と共にこのアリが移入されるおそれがあります。とりわけアリの卵やさなぎの移入を防ぐことは困難で、沖縄に上陸すれば殖えに殖え、とりかえしのつかない自然環境破壊、生物多様性破壊を引き起こすでしょう。沖縄防衛局が埋め立て材採取についての環境影響評価を怠っていたことが、このような事態を招いています。問題はアルゼンチンアリにとどまらないでしょう。
このようなリスクがあることを知りながら、政府が埋め立てを強行するならば、それは人々の生活の根である自然環境、生態系の破壊を招き、重要な産業であるサトウキビ栽培にも深刻な被害をもたらすでしょう。辺野古埋め立ては断じて許されません。